在留特別許可と不許可事例

スタッフ
VISA子

こんにちは。VISA/在留資格愛知県申請オフィス(行政書士アイセイ事務所)です。
本日はどのようなご用件でしょうか。

社長

こんにちは。先日は不法滞在のことを教えてもらってよかったよ。
さっそく、知り合いに外国人に伝えておいたよ。

スタッフ
VISA子

そうですか。よかったです。違法とか、不法滞在と聞いてしまうと本当に怖いですよね。
せっかく日本に来て楽しく過ごしていたのに、最後にそんな風になってしまうのは悲しいですしね。

スタッフ
VISA子

今日は、本来ならば日本から退去強制されるべき外国人に対して、法務大臣が在留を特別に許可することができるとされている在留特別許可についてお話しますね。

社長

在留特別許可!
日本にまだいたいとかそういうときの許可ですか?

スタッフ
VISA子

そうです。在留特別許可は入管法50条で次のように定められています。

第50条( 法務大臣の裁決の特例 )

法務大臣は、(~略~)異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

・永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)
・かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同項第2号)
・人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同項第3号)
・その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同項第4号)

出入国管理及び難民認定法より
スタッフ
VISA子

在留特別許可は法務大臣の裁量的処分となりますので、その諾否判断の透明性を高めるために、事例が公表されているんです。
それではまずは、配偶者が日本人の場合の、在留特別許可がされた事例からみていきましょう。

許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約1年7月、違反期間:約7月、婚姻期間:約1年6月、過去の刑事処分などなし、未成年の子供が1人のケース。
→在留資格【日本人の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可
●不法残留・出頭申告 在日期間:約3年3月、違反期間:約3年、婚姻期間:約9月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし(妊娠中)のケース。
→在留資格【日本人の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可
●不法残留・出頭申告 在日期間:約6年、違反期間:約4年、婚姻期間:約3月、過去の平時処分などなし、夫婦間の子なしのケース。
→在留資格【日本人の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可

スタッフ
VISA子

上記は在留期間が切れてしまっても不法残留で日本に在留していた外国人の方の在留特別許可事例の一部です。

次は、配偶者が日本人の場合の不許可事例です。

不許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約7年3月、違反期間:約3年11月、婚姻期間:約3年9月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし のケース 。
調査の結果、同居婚姻の実態に疑義がもたれた上に、在留希望理由に病気治療もあげていたが、医師から本国でも治療可とされたもの。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約16年、違反期間:約15年9月、婚姻期間:約2年4月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし のケース 。
調査の結果、同居事実がないことが判明し、合理的な別居理由もなかったもの。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約18年10月、違反期間:約18年10月、婚姻期間:約1年6月、過去の刑事処分など道交法違反(無免許運転)、覚せい剤取締法違反等により、懲役3年執行猶予5年の判決を受けているケースで、出頭申告した約9月後に刑事処分等欄記載の事実で逮捕されたもの。

スタッフ
VISA子

不許可理由は申告実態に虚偽があったり、疑義をもたれているケースが多いようですね。

社長

ほんとだね。それにしてもすごいね。不法残留の違反期間の長さが。
こういう不法残留とかパッと見ただけじゃわからないもんね。

スタッフ
VISA子

次は、配偶者が正規に在留する外国人の場合の許可事例です。

許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約3年4月、違反期間:約3年1月、婚姻期間:約7月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【永住者】 のケース 。
→在留資格【永住者の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約2年10月、違反期間:約2年7月、婚姻期間:約8月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【永住者】のケース 。
→在留資格【永住者の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約15年3月、違反期間:約15年、婚姻期間:約1年5月、過去の刑事処分などなし、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【永住者】のケース 。
→在留資格【永住者の配偶者等】で、在留期間1年の在留特別許可。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約12年7月、違反期間:約12年4月、婚姻期間:約1年7月、過去の刑事処分など:出頭申告した約4月後、入管法違反(不法残留)で逮捕され、同法65条により入管に引き渡された経緯あり、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【定住者】のケース。
→在留資格【定住者】で、在留期間1年の在留特別許可。

スタッフ
VISA子

次は配偶者が正規に在留する外国人の場合の不許可事例です。

不許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約18年1月、違反期間:約9年、婚姻期間:約3年5月、過去の刑事処分など所得税法違反により、懲役1年・執行猶予3年(罰金あり)の判決、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【永住者】のケースで、出頭申告した後に在宅起訴され、判決を受けたもの。
●不法入国・出頭申告 在日期間:約5年5月、違反期間:約5年5月、婚姻期間:約4月、過去の刑事処分など入管法違反(不法残留)により、懲役2年6月執行猶予4年の判決、夫婦間の子なし、配偶者は在留資格【技術】のケース 。
被退去強制歴1回あり。出頭申告後に逮捕されたもの。

スタッフ
VISA子

次は外国人家族の場合の許可事例です。
配偶者には内縁を含む、子の年齢は特別審理官の判定時のものです。

許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約12年5月、違反期間:約12年2月、
家族構成:配偶者(不法残留:在日期間約12年5月)
子:本邦出生後、在留資格未取得、12歳
子:本邦出生後、在留資格未取得、9歳
子:本邦出生後、在留資格未取得、6歳
家族全員で出頭申告したもの。本人は被退去強制歴1回ありのケース 。
→家族5人とも、在留資格【定住者】で、在留期間は1年の在留特別許可。
●不法残留・出頭申告 在日期間:約18年1月、違反期間:約18年10月、
家族構成:配偶者(不法残留:在日期間約17年2月)
子:本邦出生後、在留資格未取得、11歳
子:本邦出生後、在留資格未取得、6歳
家族全員で出頭申告したケース。
→家族4人とも、在留資格【定住者】で在留期間は1年の在留特別許可。
●不法入国・出頭申告 在日期間:約19年3月、違反期間:約19年3月
家族構成:配偶者(不法入国;在日期間約17年8月)
子:本邦出生後、在留資格未取得、11歳
家族全員で出頭申告したもの。配偶者は出頭した約2か月後、入管法違反(不法在留)で逮捕され、同法65条により入管に引き渡されたケース 。
→家族3人とも、在留資格【定住者】で在留期間は1年の在留特別許可。

社長

なんか子供がみんな在留資格未取得なんて、在留資格がなくても学校とか行ってたんだろうか?それとも行ってなかったのかな・・・?

スタッフ
VISA子

なんだか子供が心配になってしまいますね。
文科省の通知によると在留資格がなくても就学が可能なケースもあるようですが、とても安定した環境とは言えないですよね。

では次は外国人家族の不許可事例です。

不許可事例
●不法残留・出頭申告 在日期間:約17年10月、違反期間:約17年7月
家族構成:配偶者(不法残留:在日期間約15年10月)
子:本邦出生後、在留資格未取得、8歳
本人は日系三世であると身分を偽って在留許可を受けていたケース 。
●不法入国・出頭申告 在日期間:約13年2月、違反期間:約13年2月
家族構成:配偶者(不法入国;在日期間約11年9月)
子:本邦出生後、在留資格未取得、6歳
本人は被退去強制歴1回ありのケース 。

スタッフ
VISA子

次はその他の場合での許可事例です。

許可事例
●不法入国・出頭申告 在日期間:約16年11月、違反期間:約16年11月、刑事処分などなし。
在留希望の理由:日本人前夫との間に出生した子(日本国籍、4歳)の監護・養育のため
子の親権者は日本人前夫であるが、実際は本人(在留特別許可された者)が監護・養育していることが判明したもの。過去に在留特別許可を1回受けた経緯ありのケース 。
→在留資格【定住者】で、在留期間は1年の在留特別許可
●不法残留・出頭申告 在日期間:約24年11月、違反期間:約24年8月、刑事処分などなし、在留希望の理由:本邦に在留基盤がある。過去に交際していた同国人との間に出生した子(外国籍、本邦出生後、在留資格未取得、12歳)の監護・養育のため生活状況に安定性が認められたケース。
→本人と子供に在留資格【定住者】で在留期間は1年の在留特別許可。

スタッフ
VISA子

次はその他の、不許可事例です。

不許可事例
●資格外活動・当局摘発 在日期間;約8年8月、違反期間:約1年4月、刑事処分などなし、在留希望の理由:資格外活動は行っておらず、同居中の日本人恋人がいる。
在留資格【人文知識・国際業務】の許可を受けて在留中、専ら調理人として稼働していたもの。同居中の日本人恋人との婚姻意思なしのケース。
●資格外活動・当局摘発 在日期間:約6年、違反期間:約6年、刑事処分などなし
在留希望の理由:資格外活動は行っておらず、本邦で会社を設立する予定である。
在留資格【人文知識・国際業務】の許可を受けて在留中、在留資格【留学】の許可を受けて在留する婚約者とともに、専ら雑貨小売り業を営んでいたものであり、両名ともに資格外活動で退去採決のケース。
●人身取引加害者等・警察逮捕 在日期間:約23年
在留希望の理由:本邦に生活基盤がある。
在留資格【日本人の配偶者等】の許可を受けて在留中、売春を周旋していたほか、売春をさせるために人を買い受けたもの。日本人配偶者は本人が服役中に死亡。
人身売買罪、売春防止法違反(周旋)等により、懲役2年4月の判決を受けたケース。

社長

最後の不許可事例の全部、なんだかすごいね・・・。でたらめだらけだったのかしら。
一番最後のやつに至っては、警察逮捕されてるし。ショッキングな事例だね。

スタッフ
VISA子

この事例はほんの一部です。他にも公開している事例を、法務省のホームページで見ることができますよ。

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