帰化許可申請について
こんにちは。VISA/在留資格愛知県申請オフィス行政書士アイセイ事務所です。
本日はどのようなご用件でしたか?
こんにちは。ずっと日本で仕事している外国人の知り合いのことで相談したいんだけど。日本に帰化を考えているみたいなんだけどね、帰化のことを教えてもらえますか?
こんにちは。帰化ですね。わかりました。ご説明しますね。
帰化とは。
法務省HPより
その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望するむねの意思表示に対して、国家が許可を与えることで、その国の国籍を与える制度のことです。日本では、帰化の許可は、国籍法第4条により、法務大臣の権限とされています。
法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告示されます。帰化は、その告示の日から効力を生ずることとなります。(国籍法第10条)
法務省では帰化について上記のように説明していますが、簡単に言ってしまうと、母国の国籍を手放して、日本の国籍を取得し、日本人になるということです。
ちなみに日本の国籍を取得するには、下記ような方法があります。
日本国籍を取得するためには
●出生と同時に日本国籍を取得する
1. 出生の時に父または母が日本国民であるとき。
2.出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。
3. 日本で生まれ、父母がともに不明のとき、または無国籍のとき。
●届出をすることで日本国籍を取得する
届出による国籍の取得とは、一定の案件を満たす方が、法務大臣に対して届け出ることで、日本国籍を取得する制度です。
1.認知された子の国籍の取得
2.国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得
3.その他の場合の国籍の取得
●帰化により日本国籍を取得する
帰化とは、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって日本の国籍を与える制度です。
帰化と永住者との違いは?
帰化と在留資格の永住者は似ている印象を受けるかもしれませんね。
永住者とは、外国人が日本に滞在するために必要な在留資格のひとつですが、帰化は、日本の国籍を取得して(原則として外国の国籍は失います)日本人となることです。
●永住者とは
・在留資格が無期限になるので、在留資格の更新手続きが不要になる。在留カードの更新は必要になります。
・活動制限がなくなるので、就労の職種を選ぶことができる。
・ 国籍は外国のままなので、犯罪を犯した場合など強制退去の可能性。
・日本から出国する場合は再入国許可が必要となる。再入国許可を取得しないままで、1年以上日本を離れた場合、永住権を取り消される。
●帰化とは
・日本人となるので在留資格の更新手続きなど不要になる。
・活動制限なし。
・万が一犯罪を犯した場合などでも強制退去はなし。
・日本から出国する場合でも事前に許可も不要。
・選挙権を持てる。
・日本国籍が必要になる仕事に就くことができる。
※ 永住者の場合、国家公務員の採用試験は日本国籍を持たない外国人は受けられないと規定されていますので原則としてなれません。ですが、地方公務員の場合は、各自治体での判断となっています。
帰化は、日本人が日本で普通に暮らしているのと同じ権利と義務が発生します。ただ、こうやって見ると日本で穏やかに生活するだけでしたら、永住者と帰化と大きな差は感じないという方もいるかもしれませんね。
しかし、日本人として扱われること、 日本への出入国への制限がなくなることは、今後日本で生活を継続していくつもりの方には非常に大きな魅力だと思います。
なるほど。
確かに、行政手続き等で外国籍だと日本人よりも提出書類が多くなったり、複雑化し時間がかかってしまうことも少なくなさそうだしね。
他にも結婚すると、夫婦の国籍と子供の国籍等も考えないといけないからなぁ。
帰化の条件
- 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
日本に引き続き5年以上住んでいる(原則として就労3年程度必要) - 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
20歳以上で本国の法律でも成人年齢になっている - 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良である - 生計条件(国籍法第5条第1項第3号)
安定した生活ができるだけの収入がある - 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
国籍を持っていないか、帰化によりそれまでの国籍を失うこと - 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
暴力などで日本の政府を破壊しようと企てたり、主張しない、そのような団体に加入したり結成したりしない - 日本語能力試験3級レベル(N3)小学校3年生レベルの日本語能力が必要案件。
注意点としては、
7は国籍法に記載はされていないもので、実質的な条件となります。
※上記が帰化の一般的な条件になりますが、条件を満たしていても必ず帰化が許可されるということではありません。最低限の条件ということですね。
※日本と特別な関係がある外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、過去に日本人だった者等で、一定の者)について、上記の帰化条件が一部緩和されるケースもあります。
●帰化の条件の「1.日本に引き続き5年住んでいる」の条件を備えなくても許可を受ける場合があるもの
- 日本国民であった者の子供(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住んでいる。
- 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住んでいる、またはその父か母が(養父母除く。)が日本で生まれたもの。
- 引き続き10年以上日本に住んでいる者(就労1年程度求められるケースがある)
●帰化の条件の「1.日本に引き続き5年住んでいる」と「2.20歳以上で本国の法律でも成人年齢になっている」の条件を備えない場合でも帰化の許可を受ける場合があるもの
- 日本国民の配偶者の外国人で、率い続き3年以上日本に住んでいて、今も日本に住んでいるもの
- 日本国民の配偶者の外国人で、婚姻の日から3年以上経過していて、引き続き1年以上日本に住んでいるもの。
●上記以外でも、日本に特別の功労がある外国人について、法務大臣は「1.日本に引き続き5年以上日本に住んでいる」に満たない場合でも、国会の承認を得れば帰化を許可することができます。
帰化許可申請に必要な書類は?
- 帰化許可申請書(申請者の写真が必要です)
- 親族の概要を記載した書類
- 帰化の動機書
- 履歴書
- 生計の概要を記載した書類
- 事業の概要を記載した書類
- 住民票の写し
- 国籍を証明する書類
- 親族関係を証明する書類
- 納税を証明する書類
- 収入を証明する書類
- 在留歴を証する書類
※国籍を証する書面および身分関係を証する書面については、原則として本国官憲が発給したものを提出する必要があります。
※申請者の国籍や身分、職業などにより必要な書類が異なってくるので、注意が必要です。
帰化するメリットとデメリット
先程は永住者との違いを見てみましたが、今度は帰化のメリット、デメリットにフォーカスしてみましょう。
●メリット
日本人として扱われ、日本への出入国への制限がなくなる(在留資格の更新や変更手続きなどの手続きがいらなくなる)
日本のパスポートを持つことができる
日本の戸籍を持つことができる
日本人の名前を持つことが可能になる
選挙権を持つことができる
日本の社会保障の恩恵を受けれる
●デメリット
母国の国籍がなくなるため元の国籍に戻るのが難しくなる場合がある
母国にわたるとき、入国ビザが必要になる場合がある
帰化許可申請の手続が大変
メリットとデメリットを少し挙げてみましたが、日本のパスポートは世界的に信用度が高いので、それもとてもメリットになりそうですよね。
在留資格の更新や変更許可もいらなくなりますから、ずっと日本で暮らすことを考えるとこれも大きなメリットですね。
元の国の国籍がなくなってしまうのは、心情的に少しさみしそうだけど、メリットが大きいからね。
大変な手続きだから頑張って書類を用意しないとね。